インターネット上には体臭の相談と、それに対する的外れな回答が溢れかえっています。
そこで今回は体臭の原因となっている雑菌の具体的な消毒方法を微生物学博士の私がご紹介していきます。
ちなみに自称ワキガの方も、「皮脂が原因だから関係ない」と思わずに試してみて下さい。ワキガもまず間違いなく雑菌が原因の大部分を占めています。
- ご存知ですか??
- 洗濯機をハイター
- 服を60度以上のお湯で洗濯する
- 靴を消毒用エタノール処理
- 洗濯は酸素系漂白剤をいつも使うべし
- 爪を切る
- 全身をイソジンで洗う
- 脇と足をエタノール消毒
- 衣類の脇部分をエタノール消毒
- イソジンでうがい
- 詰め替えソープなどを廃棄して全て新品に交換
- いっそ靴と服を全部捨てる
- 布製のカバンにはエタノールをかける
- 風呂を塩素系ハイターで掃除する
- 風呂の順番に気を付ける
- 風呂の残り湯の使用は禁止
- さいごに
ご存知ですか??
まず、お体の悪臭は、特殊なご病気でない限りはほぼ100%雑菌が原因だということを認識してください。そのためサプリや食べ物で消臭など夢物語です。そして誤解を解いておきたいのが、「普通のボディーソープや洗濯用洗剤、食器用洗剤では、体や衣類の殺菌は出来ない」ということです。あれらは体の汚れを洗い流しやすくするためのものであって、決して強い殺菌作用があるわけではありません。そのため悪臭漂う環境が一度整ってしまうと、多少体や衣類を洗ってもすぐに雑菌が繁殖し直し、いつまでも悪臭が取れないのです。
そこで消臭には、殺菌力を有する化学製品を使用する必要があります。科学的根拠のある殺菌製品は以前の記事でご紹介済みです。繰り返しますが、「サプリや食事療法などで体質改善をして消臭する」というのは完全なエセ科学です。今回は、実現可能な方法と、実現がやや困難な方法を織り交ぜながら消臭方法をご紹介しますので、ご自身の可能な範囲でなるべく多くの項目を実施してください。
洗濯機をハイター
体臭が酷い場合、洗濯機が確実に雑菌で汚染されていますので下準備として洗濯機を殺菌しましょう。スーパー、コンビニ、ドラッグストア、Amazonなどなどで売っている塩素系漂白剤 (通称:台所用ハイター、キッチンブリーチなど) である次亜塩素酸ナトリウムをご用意下さい。1リットルあたり80円~200円程度で購入可能です。
どのメーカーから売られている次亜塩素酸ナトリウムも、緑色のよく似た見た目をしていますので間違ってしまうことはないですね。
そして次に洗濯機のゴミ取りネットを綺麗に掃除してください。ゴミ取りネットにゴミが溜まっていると雑菌がとても繁殖しやすくなります。
ネットの掃除が終わりましたら、ハイターを1リットル丸々投入して洗濯機を回してください。「洗濯槽洗浄モード」のようなものがあればそれ、無ければ普通の洗濯モードでOKです。
ちなみに巷では、洗濯機の洗浄には塩素系漂白剤ではなく酸素系漂白剤をオススメしていたりしますが、塩素系の方が殺菌力が優っていますので塩素系を使った方が良いでしょう。酸素系はカビなどの汚れがフワッと浮いてきて見ていて楽しいのでオススメされているだけですね。
服を60度以上のお湯で洗濯する
次にいよいよ衣類を洗濯しますが、普通に洗濯機で洗っても衣類は殺菌出来ません。かといって塩素系漂白剤のハイターは衣類が脱色しますので絶対に使用禁止です。そこで有効な手段は衣類を60℃以上の熱湯で洗濯することです。
ちなみにアメリカなどでは熱湯で洗濯するのはかなり一般的で、洗濯機に熱湯洗濯モードが備わっている機種がほとんどです。日本でもPanasonicのドラム式洗濯機などは60℃の熱湯洗濯モードが付いていますので、洗濯機の買い替えを考えている方はご検討ください。
とはいっても日本では熱湯洗濯出来る洗濯機はあまり普及していません。そこで、素直に熱湯洗濯出来るコインランドリーに持っていくのをオススメします。
もしくは自宅で出来る方法だと、お風呂に60℃以上の熱湯をためてそこに衣類を投入する方法が最も楽です。その際に洗濯用洗剤と酸素系漂白剤を投入してもみ洗いしておくと効果倍増です。
(当然、浴槽は台所用ハイターで事前にこすり洗いして殺菌しておいてください)
ちなみに熱湯で染料の色が変色したり、Tシャツのプリントが剥がれたりすることがありますので事前に確認しながら慎重に行ってください。特に他の服に色移りすると最悪ですので色物、白物で分けて熱湯洗濯することをオススメします。私の経験上、女性の下着に使われている青色系の染料がよく変色、脱色、色移りするなという気がしています。
衛生学上は、60℃なら30分、72℃以上なら15秒で殺菌が完了すると言われています。
靴を消毒用エタノール処理
次に靴を綺麗にしましょう。靴は雑菌が非常に繁殖しやすいので定期的なケアが必要です。最も簡単な方法は消毒用エタノールをスプレーすることです。消毒用アルコールは濡れているところにスプレーしても効果はありませんので必ず乾いている時にスプレーしましょう。
私は圧倒的にこちらのエコクイックアルファがオススメです。5リットルの大容量なのに安価で、変な匂いがせず、かつスプレーボトルが付属します(普通、安価な消毒用エタノールは酒税がかからないようにするために変な添加物を入れるので臭いのです)。ちなみにスプレーボトルに詰め替えた後はアルコールがどんどん蒸発して殺菌力が無くなっていきますので必ずキャップをして蒸発を防ぎましょう。
なおアルコールは、殺菌力はピカイチですが消臭効果はありませんので、すでに靴から悪臭が漂っている場合は、可能なら先に靴を水洗いしてドライヤーで十分乾燥させてからエタノールをスプレーしてください。
補足です。この殺菌方法は、ファ〇〇ーズなどの消臭を謳っているような商品では代用できませんので騙されないでください。あの手の商品は殺菌作用があるのか甚だ疑問ですし、むしろ濡らすことで雑菌が繁殖する恐れすらあります。
洗濯は酸素系漂白剤をいつも使うべし
普段の洗濯の際、酸素系漂白剤は使用していますか? 使用していないなら日常的に使用するようにしましょう。洗濯用洗剤と酸素系漂白剤を併用する感じです。洗剤で油や皮脂汚れを除去し、酸素系漂白剤で菌の繁殖を抑えることで服を清潔に保つことができます。
このような商品です。洗濯用の酸素系ハイターは液体タイプと粉末タイプがありますが、基本的に粉末タイプの方が殺菌力は上です。(洗濯用洗剤も、液体タイプよりも粉末タイプのほうが洗浄力は優れています)
ちなみに柔軟剤は消臭・殺菌という観点からは全く意味がありませんのでお好みでどうぞ。
爪を切る
いよいよ自分の体をケアしていきます。まず足が臭い人もそうでない人も下準備として手足の爪を切ってください。また爪切りの使用前と使用後に、爪切りに消毒用エタノールを噴霧することで爪切りに雑菌が繁殖するのを予防するようにしてください。
全身をイソジンで洗う
安全性と有効性のバランスが取れた人体の消臭殺菌対策は「イソジンを塗る」です。
泡立つイソジンが上記リンクで販売されていますので、これでしたら皮膚を洗いやすいです。全身洗えば、非常に強力に殺菌できます。
潔癖症の私は週一くらいのペースでこれをやっていますが、特に問題なく健康体を維持できています。
消毒用エタノールと違って、粘膜 (口内、目、肛門、性器) に触れても特に痛みはありませんし、長期間暴露しなければ悪影響も特にないとされています。。
やや高価なのがデメリットでしょう。
脇と足をエタノール消毒
脇と足は雑菌が繁殖し、体臭が特に酷くなりやすい部位です。しかしほとんど副作用なくエタノール消毒が可能な部位です。そのため定期的にエタノールをスプレーで噴霧する習慣をつけることで脇と足の悪臭を予防できます。
イソジン洗いは、その後水で洗い流さないといけませんので入浴時しか使用できませんが、アルコールでしたら入浴時以外の使用が可能です。
入浴時にイソジン、それ以外の場面でアルコールを使用して、両者併用するのがおすすめです。
衣類の脇部分をエタノール消毒
上記でご紹介した衣類の熱湯消毒は、かなり有効ではありますが60℃前後の低温だと殺菌し切れない可能性がありますので、乾燥させた後に脇部分や下着の股間部分、靴下などに消毒用エタノールを噴霧すると非常に有効に殺菌できます。噴霧後は必ず再度乾燥させてから使用するようにしましょう。
ごくたまに色落ちしますので、確認してから使用してください。
イソジンでうがい
胃腸に病気を抱えていない場合、口臭の原因はほとんどが口内の雑菌です。残念ながら、歯磨き粉やリステリンなどの洗口液に強い殺菌作用はありません。あれはあくまで汚れ落とし剤です。そこで科学的に高レベルな殺菌作用が証明されているイソジンでうがいをしましょう。
当然ですが、ハイターや消毒用エタノールでうがいをするのは厳禁です。「風邪をひいたときはビールで消毒♪」などと飲み会の場で冗談でいうこともありますが、無味の約80%エタノールはとても口に入れられたものではありません。 そのためイソジンうがいがほぼ唯一の口内殺菌法です。虫歯や歯周病を予防できるくらいの殺菌力を有してはいますが、歯磨きをしなくていいわけではありませんので歯磨きは決してサボらないようにしましょう(虫歯菌の住処となる歯垢はイソジンでは除去できません)。
なおイソジンはヨウ素が含まれていますので日常使用すると甲状腺に悪影響がある可能性があります。そのため数日に1回程度の使用にとどめ、使用後は必ず水で念入りにうがいしてイソジンを飲み込まないようにしてください。
詰め替えソープなどを廃棄して全て新品に交換
エコの精神から、ついついシャンプーやボディーソープ、ハンドソープは詰め替えしたくなりますが、体臭に悩んでいる人がいるご家庭では必ず使い捨ててください。
何度でも書きますが、シャンプー、ボディーソープ、ハンドソープ、リンス、トリートメント、洗濯用洗剤、食器用洗剤等に殺菌作用はほとんどありません。そのため詰め替えしていると、いつの間にかボディーソープ容器の中で悪臭の原因となる雑菌が繁殖します。
特に残量が減ったときに水で薄めて使用するパターンは最悪です。雑菌を塗りたくっているといっても過言ではないくらい雑菌が繁殖していると思った方が良いですね。
本当に悪臭に困っているのであれば都度新品に交換するべきです。
どうしても詰め替えたい人は、毎回台所用の塩素系ハイターで容器をすすいで、完全に乾燥させてから詰め替えてください。濡れた状態で詰め替えるとすぐに雑菌が大繁殖します。
いっそ靴と服を全部捨てる
過激な方法ですが、有効な手段の一つですね。ご自身の体だけでなく衣類から悪臭がする場合は、衣類に雑菌がこびりついている状態ですから、全て捨てるという英断をしてもよいかもしれません。
布製のカバンにはエタノールをかける
体や衣類と濃厚接触するものは同じく雑菌が繁殖している可能性が高いです。皮革製品にエタノールをかけてはいけませんが(ものすごく痛みます)、布製品であれば問題なくエタノールをスプレーで噴霧して殺菌することができます。
風呂を塩素系ハイターで掃除する
お風呂が雑菌で汚染されていると、入浴のたびに体が汚染されます。そのため浴槽や床を殺菌消毒しましょう。風呂掃除用のスプレータイプの塩素系ハイターを使用しても良いですが、台所用の塩素系ハイターと食器用洗剤の二つを併用して、擦り洗いすると最も安価に殺菌消毒可能です。
風呂の順番に気を付ける
入浴する場合は入浴と体を洗う順番にご注意ください。「入浴→体を洗う→入浴」の順番だと結局体が雑菌で汚染されてしまいます。「入浴→体を洗う」で留めておきましょう。悪臭に悩んでいる人は、再入浴禁止です。
風呂の残り湯の使用は禁止
節約のために、風呂の残り湯で体を洗ったり、衣類の洗濯を行っていませんか? 素晴らしいことだとは思いますが、雑菌で汚染されますので残り湯の再利用は禁止です。どうしても使用したいなら60℃以上の高温で使用してください。ちなみに残り湯を使用すると、「節約してやったぜ!」という達成感は大きいかもしれませんが、大した節約にはなりません。スマホをMVNO(格安回線)にしたり保険を見直したりする方が100倍有効です。
努力の方向を間違えてはいけません。
さいごに
ということで、間違いなく科学的に根拠のある消臭方法をご紹介いたしました。割と危険度の高い方法もありますので細心の注意を払って実施してください。特に、塩素系漂白剤と酸素系漂白剤を混ぜると塩素ガスが出て非常に危険ですから取扱いには注意してください。
また塩素系漂白剤や消毒用エタノールは、体質上皮膚が荒れたりアレルギー反応が生じることもあります。ご自身の体質が不明の場合は特に慎重に行っていただければと思います。
繰り返しになりますが。健康被害、衣類の損傷等についてはくれぐれもお気を付けください。消臭の効果については保証しますが、弊ブログでは一切責任を負えませんので自己責任でお願いいたします。
アラサーなので口臭対策と鼻毛対策だけは怠らないスタイル
— げがんげん@はてなブログ (@77Gegangen) June 9, 2018