冬ですね。乾燥する季節がやってまいりました。乾燥対策として加湿器を使用されている方も多いですよね。
この加湿器ですが、水を使用してるだけあって非常に不衛生ということをご存知でしたでしょうか。加湿器の雑菌が原因の死亡事故もしばしばニュースで報道されています。
赤ちゃんや小さな子どもがいらっしゃるご家庭ではそのような不衛生な加湿器を利用するのは気が引けるかと思います。かといって、毎日加湿器を清掃するのも面倒くさい...。そこで今回は、大学院でバイ菌に関する学問を修め、かつ潔癖症でもある私が「衛生的かどうか」という観点のみに注目して、おすすめの加湿器をご紹介したいと思います。
【結論】真に衛生的な加湿器は象印の加湿器のみ!!
というわけで、先に結論から述べたいと思います。象印の加湿器のみが真に衛生的な加湿器です。日本で販売されているそれ以外の加湿器は、全て健康被害を出す可能性がゼロではない加湿器です。
なおこちらが象印の加湿器になります。象印はサイズ違いの2機種の加湿器を販売しておりまして、こちらが6畳用です。
一方、こちらが8畳用です。一回り大きく、また加湿能力も一回り強力です。
購入される方は、ご予算や部屋の大きさでどちらにするか決めると良いでしょう。なお象印というメジャーなメーカー製ではありますが、マイナーな商品ですので小さな家電量販店だとほとんど置いていません。
象印の加湿器は唯一タンク全体を加温するタイプのスチーム方式を採用!
さて、なぜ象印の加湿器だけが衛生的なのでしょうか。それは象印の加湿器が水タンクも含めて加湿器内の水全てを加熱するタイプの加湿器だからです。
電源を入れると、まず一度100℃まで沸騰させ、その後65℃をキープし続けます。科学的根拠のある殺菌法として「63度で30分間」や「72~78度で15秒間」や「100℃で数秒」というのがありますので、この加湿器は科学的観点から見て非常に衛生的と判断できます。
さらに、実は「寝るときだけ使う」というような加湿器の電源を入れたり切ったりするような利用法をされる場合、「間欠滅菌」という普通の殺菌法よりもさらに殺滅効果の高い殺菌法を自然と行うことができます。衛生管理としては完璧といえるでしょう。
間欠滅菌
煮沸したあと一晩室温で放置して再び煮沸、さらにもう一晩放置後煮沸する方式。高熱耐性である細菌芽胞が、増殖に適した環境になると通常の菌体に戻ることを利用したもの。 by wikipediaを加筆修正
その他の加湿器はなぜ不衛生なのか
そもそも加湿器は大きく分けて3つの種類があります。3種類の方式について触れながら、その他の加湿器がなぜ不衛生なのか見てみましょう。
超音波式
1つ目のタイプは「超音波式」です。これは2019年現在、加湿器の中で最もメジャーな方式です。超音波を用いて水に振動を与え、細かな水の粒を飛び散らせることで霧を作るタイプです。この方式ですと、水に雑菌が混入していた場合、その雑菌も一緒に飛び散らせることになるため、全てのタイプの中で最も不衛生です。
ちなみに「抗菌効果のある素材 (銀など) を使用することで雑菌の繁殖を抑制しています」という旨を謳っている商品が多いのも事実です。しかし科学的な見解として、加熱や紫外線や薬剤処理以外の方法で長期間にわたり良好な衛生環境を維持することは不可能ですので、信用してはいけません。
健康被害が報告されている加湿器はほとんどがこのタイプと予想されます。
気化式
2つ目のタイプは「気化式」です。これは繊維状の物体 (紙や布など) に水を吸収させるなどして水の表面積を増やしてあげたり、水に風を当てたりして自然な蒸発を促してあげるタイプです。気化式だと、超音波式よりも空気中への雑菌の拡散が抑えられていますが、水タンクの衛生状態を維持することは困難ですから感染リスクはゼロではありません。また風を当てるタイプの加湿器であれば、風圧により雑菌が積極的に飛散するリスクがあります。
スチーム式
3つ目のタイプは、スチーム式です。これは水を加熱することで水の蒸発を促すタイプです。象印の加湿器はこのスチーム式に分類されます。このスチーム式ですが、さらに細かく分類すると
- 水タンクを含めて水路全体を加熱するタイプ
- 水蒸気が出てくる口の部位だけを加熱するタイプ
があります。
私が調べた限り、日本で気軽に入手可能なスチーム式の加湿器は象印以外全て②でした。象印以外のスチーム式加湿器は上述の「63度で30分間」や「72~78度で15秒間」や「100℃で数秒」といった殺菌条件を満たしているか疑問ですし、そもそも水タンクの雑菌繁殖は全く抑制することができません。というわけで感染症リスクは全くのゼロというわけではありません。
実際に象印の加湿器を使用した感想
実際に昨年、象印の加湿器を購入いたしましたので簡単にレビューしたいと思います。
良かった点① 衛生的なのでほぼメンテナンスフリー
雑菌が全く生育しませんので、基本的にはこまめな洗浄作業は全く不要です。これはこの加湿器の唯一無二の特徴です。ただし水を煮詰めている状態ですから、徐々にタンクの壁面に水道水由来のミネラルが沈着していきます。そのため気が向いたときに擦り洗いや、クエン酸処理等でそれらを除去する必要があります。
タンクの底の写真を撮影してみました。ザラザラとした質感が分かりますでしょうか。これがミネラル沈着です。
とはいえ飲むための水ではありませんので、そこまで神経質にならなくても問題はありません。ミネラル沈着により性能が落ちるというのは特にないです。
良かった点② 加湿能力は文句無し
65℃に温められた水蒸気が放出されますので、長時間の使用により鍋をしたときのようなジメジメ感が得られます (もちろん出力は調節可能)。部屋の大きさにも依存するでしょうが、我が家の環境では全く文句なしの加湿能力を発揮してくれています。
悪かった点① ダサい
お世辞にもかっこいいとはいえません。ポットをメインで作っているメーカーが片手間で製造したからでしょうね。見た目は完全に注ぎ口の無いポットですのでこのデザインを許容できない人も多そうです。ちなみに私は実用性優先でしたので特に気にせず購入しました。
デザインくらい簡単にオシャレに変更できると思うのですが...。どうやらデザインにはこだわらない古臭い人間が会社の上層部に居座っていそうです。
悪かった点② やや危険(?)
熱湯を利用していますから、やはり他の加湿器と比較すると危険度は高いと言わざるを得ません。もちろんチャイルドロックや、蓋のロック機構、転倒してもお湯がこぼれない安全機能はついています。また蒸気吹き出し口もカバーがあるので触っても火傷しないように配慮されています。
そのため特に危ない目にあったことは全くないのですが、気持ちの問題としてなんとなく少し危険かなと思ってしまいます。
特にお子さんがいらっしゃるご家庭だと不安ですね。お子さんの健康を考えると、超音波式等の加湿器は避けたほうがいいのは間違いないですが、一方で象印の加湿器だと火傷リスクが不安です。お子さんがいらっしゃる方は設置場所等に少し気を遣うかもしれません。
運転中でもこんな感じで吹き出し口に触れます。私の主観だと手なら2秒、顔面なら1秒までなら我慢できますので不意に触れてしまってもいきなり火傷することはないでしょう。
悪かった点③ うるさい
お湯を沸かしますのでうるさいです。特に最初に100℃まで加熱する際はポットでお湯を沸かすときと同じようなかなり大きな音がします。65℃維持期に入るとかなり静かになりますが、シューという音とゴーという音が混ざったような小さな音がし続けます。
なおタンク一杯に冷水を入れ、音が静かになるまでの時間を測定したところ、約20分という結果になりました。「電源を入れてからの20分間は非常にうるさくなる」というのは留意したほうが良いでしょう。
インターネット上のレビューをみていても、「うるさくて寝られない」といった意見が散見されますね。ちなみに私たち夫婦は問題なく寝れていますので個人差が大きいと思います。特に妻は音に対して非常に神経質ですが、ギリギリ許容してくれています。
悪かった点④ 電気代が高い
スチーム式加湿器の宿命ですね。我が家にある加湿器をワットチェッカーで測定したところ、最初の加熱時は900~920ワット、65℃維持時は300~310wの消費電力でした。
コンセントを挿して電源を切っているときは0.0ワット (画像右上の下側の数値) です。待機電力は優秀です。ちなみにワットチェッカーの上側の数字はかなりデタラメですので今回は気にしないでください。
電源を入れて5秒後です。消費電力が一気に921ワットまで上昇しました。
電源を入れて10分後です。変わらず900ワットオーバーを推移しています。
電源を入れて14分30秒後に突如消費電力が310ワットに落ちました。ここから部屋の湿度が適切になるまで300ワットを維持し続けます。
では実際に電気代を計算してみましょう。我が家の電気の契約は深夜電力だと12.25円/kwh (えんパーキロワットアワー) です。我が家は寝るときしか使用しませんので、試しにこれで電気代を計算してみます。
上記の通り、最初に910ワットで14分30秒駆動しますから、その間に約2.7円 (12.25円/kwh×14.5分/60分×910ワット/1000ワット)、その後65℃維持時は1時間につき3.8円 (12.25円/kwh×60分/60分×310ワット/1000ワット)かかる計算となりました。部屋の湿度が適切になりさえすればさらに電気代は安くなるでしょう。
なお一般的な契約でしたら25円/kwhくらいが普通ですのでその場合は上記の2倍程度の電気代が必要だと考えてください。そう考えるとやはり少し割高ですね。
まとめ
ということで唯一無二の衛生的な加湿器を紹介させていただきました。他ブロガーさんをディスりたい訳ではないのですが、やはりメーカーの謳うエセ科学を鵜呑みにしたような非科学的な記事が散見されましたので、今回真面目に紹介してみました。
ぜひご検討いただけますと幸いです。