理系20代の日常レポート

「こんな情報が知りたい!」と自分が思ったことを本能の赴くままに書いてみようと思います。カメラ/旅行/家電/日常/科学関連の話題が多めです。

SIGMA 14mm F1.8 DG HSM art レンズを星景写真に使うときの欠点【レビュー】

私が敬愛する星景写真家のKAGAYAさんも使用されているSIGMA 14mm F1.8 DG HSM art。こちらのレンズを半年ほど前に購入して何度か星景写真に使用してみましたので、今回はそのレビューを載せたいと思います。

 

レンズの概要 

このレンズですが、フルサイズ対応14mmという超広角ながら、解放F1.8という世界唯一の明るさ (集光力) を有するレンズです。このスペックは明らかに星景写真家をターゲットにした製品で、私もまんまとこのレンズを購入する運びとなったわけです。

SIGMA 単焦点超広角レンズ Art 14mm F1.8 DG HSM キヤノン用 フルサイズ対応

SIGMA 単焦点超広角レンズ Art 14mm F1.8 DG HSM キヤノン用 フルサイズ対応

 

参考までにシグマさんの公式HPのリンクを掲載しておきます。 

 

ちなみに私はソニーとニコンのカメラユーザーですが、購入したのはキヤノンEFマウント用です。理由は単純明快で、専用リアフィルターホルダーがキヤノンEFマウント用のレンズにしか用意されていなかったからです。

シグマ FHR-11 リアフィルターホルダー

シグマ FHR-11 リアフィルターホルダー

 

精密ドライバーと普通のハサミさえお持ちでしたら自分で換装できます。簡単です。

 

星景写真にソフトフィルターは必要不可欠ですが、このレンズは前玉が出目金型ですので特殊な社外品パーツを使用しないと前玉にソフトフィルターを取り付けることができません。そのため後玉にソフトフィルターを取り付けるのが最も簡便確実な装着方法となりますので、あえてキヤノンEFマウント用のレンズを購入したわけです。

私がよく使っているのはLEEのNo.1かNo.3のソフトフィルターです。

 

なおソニーEマウントに取り付けるために、マウントコンバーターMC-11を間に噛ませています。実用レベルでオートフォーカスの効く【キヤノンEF→ソニーE】変換のマウントコンバーターです。

SIGMA マウントコンバーター MC-11 キヤノンEF-E用 キヤノン⇔ソニーEマウント

SIGMA マウントコンバーター MC-11 キヤノンEF-E用 キヤノン⇔ソニーEマウント

 

ちなみにAFは純正かと思うほど快適に効きます。MC-11を介してソニーのカメラに取り付ける分にはそのあたりの心配は全くいらないでしょう。

 

レビュー① ソフトフィルター有り 

では早速作例をご覧いただきましょう。

f:id:microbiologist:20191026203426j:plain

等倍表示しないと分からないかと思いますので、オリジナル画質の画像を以下のリンクにご用意しました。30MBありますので、ご注意ください。  

drive.google.com

レンズ:SIGMA 14mm F1.8 DG HSM art

カメラ:SONY α7RII

絞り:開放F1.8、露光時間:30秒、ISO:1600、赤道儀使用、LEEソフトフィルター No.3使用

撮影場所:長野県北アルプス五竜山荘近く

 

コンポジット等の処理はしていない1枚撮りの天の川の写真です。開放F1.8での撮影では、単位時間あたりF2.8よりも理論上2.4倍、F4よりも理論上4.9倍もの光を取り込むことが出来ます。これがそのままノイズの低減に繋がっていることが、等倍表示していただけますとよく分かります。シャッタースピード30秒という短時間撮影ではありますが、驚異的な低ノイズを実現しています。今までF2.8での撮影が上限でしたので、ノイズの少ない写真をPCで観たときは身震いしてしまいました(笑)

f:id:microbiologist:20191026205316j:plain

中央部を等倍で切り出してきました。これくらいの画像処理の範囲ならダークノイズはほとんどないです。背景が模様っぽくなっているのはノイズではなくて天の川です。

ただ購入を考えている方が最も気になるのは、四隅の描写ですよね。こちらも等倍切り出しでお見せいたします。

f:id:microbiologist:20191026205545j:plain

↑左上

f:id:microbiologist:20191026205608j:plain

↑右上 (右上だけ現像で少し暗くしすぎました。右上だけ周辺減光しているわけではないです)

f:id:microbiologist:20191026205809j:plain

↑左下

f:id:microbiologist:20191026205826j:plain

↑右下

 

パープルフリンジ等の色収差はよく抑えられているように見えますが、クリオネのような形のサジタルコマフレアが現れています。

 

今回の作例ですが、実はコマ収差をごまかすためにソフトフィルターを使用しています。等倍表示しなければ全く問題ない驚異的な天体写真が得られますが、拡大してしまうとちょっと気になる...というのが私の率直な感想です。

 

レビュー②ソフトフィルター無し

ソフトフィルター無しだとどうなるかというとこちらです。

f:id:microbiologist:20191026211741j:plain

同じくオリジナル画質の写真を以下のリンクから閲覧可能です。35MBありますのでご注意ください。

drive.google.com

レンズ:SIGMA 14mm F1.8 DG HSM art

カメラ:SONY α7RIII

絞り:開放F1.8、露光時間:30秒、ISO:2500、赤道儀使用、ソフトフィルター使用

撮影場所:富山県宇奈月温泉 とちの湯近く

 

RAW撮影してLightroomに取り込んで、「色収差補正」のみオンにして少しだけ露出量をプラスに補正しただけの写真です。それ以外はノイズ低減も含めて何もやっていません。微恒星までカリッと映し出されて圧巻の星空が広がります。

 

やはり等倍表示しなければ、超低ノイズの写真を楽しむことができます。ソフトフィルター無しだとディティールが残りますから、ソフトフィルター不使用も素敵な写真が撮影できますね。

 

そして等倍表示したときの四隅の点像がどうなっているかというとこちらです。

f:id:microbiologist:20191026222827j:plain

↑左上

f:id:microbiologist:20191026222915j:plain

↑右上

星が線状になっているのは赤道儀を使用していないからです。やはり鳥が羽ばたいているようなサジタルコマ収差がクッキリ見られます。

 

他レンズとの比較 

私は星景撮影用のレンズとしてNIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8 EDSAMYANG 12mm F2.8 ED AS NCS FISH-EYEも持っていますが、これらとSIGMA 14mm F1.8 DG HSM artを比べると、サジタルコマフレアが出ないのは明らかにNIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8 EDです。次いでSIGMA 14mm F1.8 DG HSM artという感じです。SAMYANG 12mm F2.8 ED AS NCS FISH-EYEはもっと盛大にクッキリ出るので、ソフトフィルターで誤魔化すのが必須だと思っています。

Nikon 超広角ズームレンズ AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED フルサイズ対応

Nikon 超広角ズームレンズ AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED フルサイズ対応

 

f:id:microbiologist:20191026230345j:plain

比較のためにNIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8 EDを使用した作例も載せておきます。下記リンクはオリジナル画質です。39MBありますのでご注意を。

レンズ:NIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8 ED

カメラ:SONY α7RII (マウントアダプター使用)

絞り:開放F2.8、焦点距離:14mm、露光時間:25秒、ISO:5000、赤道儀使用、LEEソフトフィルター No.3使用

撮影場所:長野県高峰高原

 

比較のために等倍四隅もお出ししますね。

f:id:microbiologist:20191026231755j:plain

↑左上

f:id:microbiologist:20191026231809j:plain

↑右上

 

やはりSIGMA 14mm F1.8 DG HSM art レンズよりもノイジーなのは否めませんが、サジタルコマフレアがほとんど見られません。さすが神レンズと称されるだけはあります。

 

ノイズ低減を優先するならSIGMA 14mm F1.8 DG HSM art、点光源の描写やズーム機能を優先するならNIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8 ED、超超広角を優先するならSAMYANGなどの12mmレンズという感じでしょうか。ただし今回全く触れませんでしたが、SIGMA 14mm F1.8 DG HSM artをF2.8あたりまで絞れば、サジタルコマフレアがかなり改善しますので、絞って使う手もあります。同じF値同士で比較した場合、単焦点レンズはズームレンズよりも良い写りをすることが多いので、それもアリかと思います。...が、NIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8 EDの方がレンズ枚数が少ないので絞るなら星景写真用としてはNIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8 EDの方が良い可能性もあります (これは私の推測なので真偽不明です。F2.8同士で両レンズを比較すると私には区別がつきません。)

 

結論

絞り開放時のサジタルコマフレアを除けば世界唯一のスペックを持つ素晴らしいレンズです。14mmの画角ですから、サジタルコマフレアが気になるかといえば気にならない場面が多いですし、私はこのレンズのほうがNIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8 EDよりもお気に入りになってしまっています。

 

Photoshopなどを駆使して、多数の写真を合成するような方はレンズの明るさよりも星の描写を優先したほうがよいでしょうから、絞って使うか他のレンズの方がおすすめです。

 

そうではなく、1枚撮りで勝負するような方はノイズとの戦いになりますからこのレンズがピッタリではないでしょうか。

SIGMA 単焦点超広角レンズ Art 14mm F1.8 DG HSM キヤノン用 フルサイズ対応

SIGMA 単焦点超広角レンズ Art 14mm F1.8 DG HSM キヤノン用 フルサイズ対応

 

  

裏話

今回、さも私の所有物のようにSIGMA 14mm F1.8 DG HSM artをレビューしましたが、実は妻のレンズなんですよね...。これからは妻と仲良く共有しながらこのレンズを楽しみたいと思います。