社会人の皆さんは普段、ビジネス用の革靴を快適に履けていますでしょうか。何の不満もなく快適に履けている人は少数派だと思います。
ちなみに私は研究開発職に従事していますので仕事中は安全靴を履いているのですが、通勤中だけはスーツに革靴スタイルです。
通勤中しか革靴を履かないので、営業さんなどと比べるとマシな方ですが、この革靴がとにかく苦痛です。ビジネスシューズは衝撃吸収性が無いのでとにかく疲れますし、何より革が硬くて足にフィットしづらいので痛いのです。
そこで履き心地の良いビジネス用の革靴をずっと探していました。革靴ライクな運動靴に手を出そうかとも悩みましたが、さすがにいい大人がスーツにフォーマルシューズを合わせていないのは恥ずかしい...。そして苦節数年、ようやく出会うことが出来ました。
アシックスの革靴です。「アシックスが作っている革靴ライクな運動靴」ではなく、「アシックスが作っている運動靴の履き心地を備えた革靴」ですので見た目はちゃんとフォーマルシューズです。
ご存知の通りアシックスと言えば日本屈指の総合スポーツ用品企業ですよね。そのアシックスが運動靴で培ったノウハウを用いてビジネス用の革靴を作っているのです。履き心地が悪いわけがないです。
ということで今回は「アシックス様の靴を一生買い続けよう」と思うほど私が惚れ込んだ履き心地抜群のアシックスの革靴をご紹介します。ちなみにメンズとレディース用の両方販売しているようですが私が男なこともあって、今回女性用のレビューはしません (出来ません)。とはいえある程度参考にはなると思いますので女性の方にも読んでもらいたいです。
ASICSの革靴は大きく分けて2種類ある
レビューの前にアシックスのビジネス用革靴の種類について説明させてください。
アシックスの革靴は大きく分けて価格帯の異なる2種類のラインが存在します。一つは本家本元の株式会社アシックスが「ASICS WALKING」ブランドとして売り出している「Runwalk」、そしてもう一つが株式会社アシックスの子会社であるアシックス商事株式会社が製造販売している廉価グレードの「texcy luxe (テクシーリュクス)」(男性用) と「Ladyworker」(女性用)です。
「Runwalk」は3万円前後の価格帯の「走れる本格フォーマルシューズ」です。日本各地に「ASICS WALKING」という実店舗がありますので、一度現物をご覧になって試し履きしてください。そうするとよくわかりますが、ジョギングシューズと同等の履き心地なのに見た目は普通のビジネスシューズです。
一方「Texcy luxe」は4千~1万円程度の価格帯の「走れるフォーマルシューズ」です。値段の割に履き心地は「Runwalk」と大差ないくらい素晴らしいと私は感じましたが、素材の牛革がパッと見、少し安っぽいです。
なお「アシックス商事株式会社が製造販売している靴」と言われると「アシックスのパクリか!?」と疑ってしまいますが、れっきとした本家アシックスの子会社ですのでご安心を。シューズの資材を供給する商社として、株式会社アシックス等と取引をしているうちに株式会社アシックスの傘下に入ったようですね。(アシックス商事株式会社HPより)
ASICS WALKINGのRunwalk レビュー
ではまず本家高級ラインのRunwalkについてレビューしたいと思います。今回はアシックスウォーキング大宮店さんにお邪魔して履きこんできました。
3次元足形計測で安心の靴選び!!
靴のレビューというか店のレビューになってしまうのですが、アシックスウォーキングの実店舗では無料で3次元足形計測をやってもらえます。2次元の計測はよくありますが、3次元というのは初めて聞きました。
この計測によって店員さんが適切な靴の提案をしてくれるというわけです。
見た目はまぁまぁ
といいつつ計測はスルーしてまずは店に置いてあるラインナップを眺めてみます。ASICS WALKINGのメンズのフォーマルシューズは2万円強~4万円強くらいの価格帯ですね。ストレートチップやプレーントゥ、内羽根式外羽根式など様々なデザインのものが置いてありましたので選択肢の幅は広いです。
その中でも
- スタンダードモデル
- ハイグレードモデル
のラインナップがありました。店員さんに聞いたところによると後者はメイドインジャパンで、前者はそうではないとのことでした。どこで作られたのかというよりも両者で明らかに使用されている革のグレードが異なりましたので、購入を検討されている方はご注意ください。
ハイグレードなモデルは革に艶があり、やや光沢が強い傾向でした。私の感想は「百貨店で置いていてもギリギリ不自然ではない...かな...??」です。
一方、スタンダードなモデルの方は革の表面に皺 (履き込んだ結果出来るような皺ではなく、生物本来の皮が持つ細かい模様皺。人工皮革によくあるような細かい皺模様) が入っており、表面が若干ざらざらしているためか光沢が少し弱かったです。革の光沢が苦手な人や落ち着いた見た目が好みな人には良いかもしれません。私の率直な感想は「〇山などの大衆向けスーツショップに置いていそうな感じの素材の靴だな」です。
さらにこれらのモデルの中には防水透湿性素材として登山用などの本格レインウェアなどに採用されているGore-Tex (ゴアテックス) を組み込んでいる防水モデルもありました。ゴアテックスの防水透湿レベルは世界最高峰ですから、防水のフォーマルシューズを探している人にはぴったりです。
アシックスウォーキング大宮店で写真を撮ろうと思っていたのですが店員さんの視線が気になり諦めました笑 そのため別のアウトレット店で写真を撮ってきました。後述のTexcy luxeよりは作りがしっかりしています。
履き心地は笑いが出るほど素晴らしい
さて、履く前にアシックスウォーキング大宮店の店員さんに足形測定してもらい、サイズの合った靴を持ってきてもらって試し履きをしてみました。履き心地がフォーマルシューズのそれとは明らかに異なり、履いてみた瞬間に凄すぎて笑ってしまいました。クッション性、フィット感が素晴らしかったです。新品特有の硬い革 (といっても普通の革靴よりはかなり柔らかい) なのに自分の足にピッタリフィットで、靴擦れする気が全くしないのも好印象でした。
さらに、足のアーチ等に合わせて自分だけの専用インソールを作ってくれるとのこと。結局購入しなかったのに簡易でセッティングしていただきました。足とインソールの間の隙間を埋めるようにしてくれた(と思う)のですが、それだけでさらに驚くほど快適性が上がりました。人生初めての不思議な感覚で、普通の運動靴でもここまで履き心地の良いものには出会ったことがないです。専用インソールの威力、おそるべしでした。
ちなみに私は登山が好きなので色々な登山靴を大量に持っているのですが、それらの運動靴としての性能と比較すると
アウトドアサンダル
↓
トレイルランシューズ=RUNWALK(通常ソール)
↓
ハイキングシューズ(ローカット) =RUNWALK(専用ソール)
↓
トレッキングシューズ(ハイカット)
くらいな位置づけの性能だと感じました。下に行くほど高性能な靴になっています。Runwalkは革靴なのに富士山に登れると確信できるくらいのクッション性でした。
アシックス商事株式会社のTexcy luxeレビュー
続いて廉価シリーズのTexcy luxeについてレビューします。近隣店舗に置いていなかったため、こちらはAmazonで購入しました。今回はオーソドックスなプレーントゥデザインのTU-7764を購入しました。他にも下記リンクから様々な型番の商品に飛べますのでぜひ見てみてください。
Amazonだと型番、防水の有無、サイズによって値段に大きく開きがあり、4000円強~10000円強の価格となっています。
安っぽい見た目なのは否めない
デザインは、腐っても普通のフォーマルシューズですのでそんなに悪くないのですが、牛革がいかにも安っぽいです。この安っぽさを許容できるかどうかが、Runwalkを選択するかTexcy luxeを選択するかの最も大きな分かれ道だと思います。
まずは各種写真をご覧ください。
1ヶ月ほど使用しての写真撮影なので、履き皺がありますが、当然購入時はありません。
牛革の拡大図。この細かい皺模様を許容できるかどうかが購入の可否を決定しますね。本物の牛革ですが、合皮革と言われれば信じてしまいそうな質感です。かなり柔らかい皮革を使用していますから、どうしてもこのような安っぽい質感になるのでしょう。
下写真のようなお高いオシャレ革靴にありがちな、艶っとした質感はありません。
↑こんな感じの艶のあるテカリを出すのは、クリームを塗りなおしても中々難しいのではないでしょうか。
サイドゴアゴムが入っていますので着脱はかなり楽です。
ソールはかなり柔らかい素材が使用されています。また排水を促す滑り止め用の溝がこれでもかと入っています。
インナー部分は全面にクッションとなる布でカバーされています。個人差があると思いますが、私はこの靴では靴擦れを全く起こしませんでした。
安い割に履き心地はRunwalkとの違いが分からないくらい良い
さて肝心のフィット感、クッション性についてです。クッション性については正直、Runwalkと違いが分からないくらい良いです。むしろTexcy luxeの方が若干ソールの素材が柔らかいため、こちらの方が良いような気すらします。ザ・運動靴という感じですね。長時間歩いても全く疲れませんし、これで夏の富士山を登ることも十分可能と確信できます。
フィット感についても、中にクッションとなる布が入っていますから普通の運動靴と同程度のクオリティです。ただし、やはり自分専用のインソールを入れたRunwalkには負けますね。専用インソールを入れないRunwalkと比較すると、同程度だとは思います。
自分専用のインソールを入れたRunwalkのフィット感はやはり素晴らしかったですので流石にそれには勝てないということですね。というか専用インソールが新感覚すぎて、これを超えるのは普通の靴では無理だと思います。
結局RunwalkかTexcy luxeかどちらにすべき??
極上の履き心地を求める場合は自分専用のインソールを入れたRunwalk一択です。そうではなく、普通の運動靴程度の履き心地で良いのでしたら正直RunwalkでもTexcy luxeでもどちらでも良いでしょう。専用インソールは素晴らしかったですが「足が痛くならない靴が欲しい」程度のニーズなら専用インソールは無くても十分です。
・約2~3万円の価格差
・革の素材の質感差
・(防水機能を求める場合) Gore-texの完璧な防水がよいのか、普通の防水でよいのか
この3点を考えてどちらを購入するか決めてください。
特に見た目は大事ですね。私は通勤用にしか使いませんので安っぽいTexcy luxeを選択しましたが、例えば常に身だしなみに気を遣わないといけない職種の方であればRunwalkのハイグレードモデルの製品を購入した方が無難だと思いますね。
「1足オシャレな高級靴を持っているから、普段は安いTexcy luxeでいいや」と考えるのもアリでしょう。私もこのタイプです。たまに取引先のお偉いさんや勉強会で大学教授と交流がありますから、そういう時だけオシャレ靴を履くことにしています。
またそもそもTexcy luxeはフォーマルシューズにしては非常に安く、一般的なソールの修理費と靴本体の値段がほぼ同じくらいです。そこで靴底がすり減ってきた際にリペアをせずに新品にするという技が使えます。日々の革のメンテナンスがめんどくさい人はTexcy luxeを定期的に購入することで清潔感のある革の状態を保つことが出来ますね。
一方、高級路線のRunwalkはおいそれと新品に交換するわけにはいきませんから、靴底がすり減ってきたらその都度修理に出すことになります。
靴底にアシックス社特有のゲル素材が仕込まれていますのでその辺のリペア店には修理に出せない点に要注意ですが、ASICS WALKINGに持ち込みさえすればアフターサービスは良好です。(ちなみに修理は工場で行うそうなので、ASICS WALKINGの店舗に持って行っても当日受け取りは無理だと思います。要注意です。)
一度購入すれば修理しながら長く使えるのはRunwalkのメリットでしょう。
さいごに
ということでアシックスのビジネスシューズのご紹介でした。
「そもそもアシックスでビジネスシューズを買うのはどうなのよ」と最初は思いましたが、購入してみると見た目のダサさよりも素晴らしさが上回っていることが良く分かりました。デザイン面以外でビジネスシューズに不満のある人は一度検討されてはいかがでしょうか。
Runwalkなら実店舗へ、Texcy luxeならAmazonへGoです!!
ただし通販で靴を購入する際はサイズにだけお気をつけを。特にTexcy luxeは本来のサイズよりも少し大きく作られていますので注意してください。普段USA 8 1/2 (エイトハーフ。日本の26.5センチ) の靴を購入する私がTexcy luxeの25.5センチでジャストフィットしましたので。
(2019.8追記)
Amazonプライムサービスの一つとして衣類の試着サービス (無料返品サービス) が開始されました。プライム会員の方は「prime wardrobe」と記載されている商品であればサイズの失敗を気にせずに通販購入が可能です。
Amazonプライムは30日間無料サービスもありますからお試しで利用されても良いですね。こちらからAmazonプライムの登録画面に移行できます。
例えばこちらのテクシーリュクスであれば「prime wardrobe」と記載されていますのでサイズの失敗を恐れずに気軽に購入が可能です。サイズだけでなく靴の安っぽさを確認するのにも使えますからどうぞお試しあれ。