私は大学時代に光を扱う研究を行っていたことから、星空を撮影するのが趣味になってしまいました。星々の放つ微弱な光をカメラで捉えることが研究内容に非常に似ていたからです。
ここ最近もペルセウス座流星群を撮影しに車で長野県に遠征してきました。
昨夜長野県にて撮影。ペルセウス座流星群を撮りに行ったのに運悪くほとんど写真に撮れなかったという不運...。肉眼ではいっぱい見れて幻想的でした。
— げがんげん@はてなブログ (@77Gegangen) 2018年8月12日
カメラ SONY α7RII
レンズ NIKON AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
焦点距離 14mm 露出 25秒 ISO 5000 ソフトフィルター使用https://t.co/R8g6cbm97H pic.twitter.com/ycaeWpk42p
長野県にて撮影。荒野に浮かぶ星々は普段住む街中からは決して見ることの出来ない美しさでした
— げがんげん@はてなブログ (@77Gegangen) 2018年8月22日
カメラ:SONY α7RII
レンズ:NIKON AF-S 14-24mm f/2.8 ED (マウントアダプター使用)
焦点距離:14mm 絞り開放 露出25秒 ISO6400 ソフトフィルター使用 pic.twitter.com/8BtKZe7npQ
しかし毎回何かしらの忘れ物をしてしまうのです。今回は備忘録を兼ねて星空撮影する際の私の持ち物リストを公開します。また一部そのリストについて補足説明したいと思いますので、星空の撮影に興味のある方は参考にしてみてください。
- 必須の持ち物一覧
- あると便利な持ち物一覧
- 三脚
- 車のスペアキー
- 虫よけスプレー
- 赤色と白色のライト
- レジャーシート
- 防寒着
- 手袋
- アイマスク、枕
- レンズヒーター
- ブロアー
- ソフトフィルター
- 赤道儀、赤道儀用の雲台、コンパス
- 最後に
必須の持ち物一覧
まず基本的なところから挙げていきましょう。書かなくても大丈夫だとは思いますが念のため。
- カメラ本体
- レンズ
- 記録媒体 (SDカードなど)
- カメラの電池 (充電済み)
- 三脚
- 三脚の雲台のクイックシュー (もしあれば。忘れやすいので注意)
これだけあれば最低限の星空撮影は可能です。上記持ち物だけで、理想とする撮影の80%くらいは実現出来ると思います。なお上で紹介したような広角の写真ではなく、星団や銀河などを超望遠撮影したい場合はカメラ用レンズではなく望遠鏡が必要になります。
あると便利な持ち物一覧
撮影を快適にするもの
- 車
- 車の鍵
- 車のスペアキー
- 虫除けスプレー
- 赤色ライト (ヘッドライトがベスト)
- 白色ライト (ヘッドライトがベスト)
- ライト用バッテリー (乾電池など)
- アウトドア用イス
- レジャーシート
- 使い捨てカイロ
- 防寒着
- 手袋
- (屋外で寝るなら)毛布
- 暖かい飲み物(水筒)
- 着替え
- ウェットティッシュ
- 登山靴
- サンダル
- アイマスク
- 枕
- 熊撃退スプレー
撮影のクオリティを上げるもの
- レンズヒーター
- レンズヒーター用の充電済みモバイルバッテリー
- モバイルバッテリーを三脚に引っ掛ける袋 (コンビニのビニール袋でOK)
- ブロアー
- メガネ拭き、レンズペーパー
- ソフトフィルター
- 赤道儀
- 赤道儀用の雲台
- コンパス
- 赤道儀用の電池 (乾電池)
- 外部シャッター
- パーマセルテープ
- カメラ充電用モバイルバッテリー
- カメラ充電用ケーブル
- カメラバッテリー充電器
こんなところですね。ではいくつか補足したいと思います。
三脚
よく「星空撮影するなら三脚は高価でしっかりしたものを」と言われます。しかし個人的には、有名メーカー製であれば三脚部分は数千円の安物で大丈夫だと思っています。重要なのは三脚の上の部分の雲台です。
「三脚の剛性が高い方が風の影響を受けない」とはよく言いますよね。ただ風の影響は、星空を広く映す広角写真撮影であれば、ほとんどあるいは全く分かりません。そのため趣味程度の撮影であれば三脚の剛性はあまり気にしなくていいです。それよりもカメラを上に向ける都合上、雲台とクイックシューに物凄く負荷がかかるので、安い雲台だと最大搭載荷重に収まっていてもカメラを支えきれない場合があります。
三脚の雲台がカメラを支えきれない場合、写真撮影はほぼ続行不可能です。よって三脚を購入する際は、念のために雲台の交換が可能な、雲台取り外しに対応した商品にしておくのが無難です。
私は機動力重視の軽量トラベル用三脚SLIK エアリーの雲台を、最大搭載荷重5kgのSLIK SBH-280E (下記) と交換して使用しています。この雲台は値段の割に超高性能なので星空撮影には非常におすすめです。
※なおトラベル用なだけあってSLIK社のエアリーはデフォルトの雲台での星空撮影がかなり難しいです。特に一眼レフカメラや重量級レンズはほぼ支えられないと思ってください。雲台を交換する気が無いならSLIK エアリーは絶対にやめておいた方がいいです。
ちなみに折りたたんだ時に長さが60cm以内になる三脚を選んでおくと、飛行機に手荷物として持ち込めることが多いので旅の柔軟性が増しますよ。
車のスペアキー
車で遠征する場合は、絶対に持って行ったほうが良いです。暗闇での作業が発生しますから鍵の紛失はあるあるです。ほとんどの場合は紛失したのではなくてどこかに紛れ込んでいるパターンなのですが、万一に備えてスペアキーを持っておくと非常に安心できます。帰れなくなってしまいますからね。
虫よけスプレー
真冬の撮影でない場合は必須ですね。私が愛用しているのはKINCHOのプレシャワーです。明らかに虫が寄ってこなくなるのが分かります。80mLですし、ガスタイプではないので飛行機での移動にも対応しています。
ちなみに野外シーンで活躍する写真家のKAGAYAさんもおすすめしていました笑
オススメの虫除けスプレーhttp://t.co/hZGNoktxUJ
— KAGAYA work (@kagaya_work) 2015年8月13日
蚊の大群の中も素通りできた。
赤色と白色のライト
赤色はヒトが明るさを感じにくい色です。白色のライトだと目が明るい状態に慣れてしまうのですが、赤色はその作用が弱いです。現場でカメラをセッティングするのに必須ですね。白色ライトは現場まで向かう時に使用します。白色ライトについては明るければ明るいほど安全性が増します。
なお赤色ライトも白色ライトも登山用の頭に装着するヘッドライトがベストです。ただ私はいつも趣味の自転車のライトを流用しています笑。自転車のライトは、ヘッドライトより数倍明るいので安全上非常に良いのですが、片手が塞がりますので皆さまには無難なヘッドライトをおすすめします。
このVOLT800は自転車用ライトメーカー最大手の「キャットアイ」製の自転車用フロントライトで、私が愛用しているライトです。小型なのに原付バイクのライトと同じくらいの明るさを誇ります。遭難等のトラブル対策に非常に有効なので鞄に1本入れておくと安全対策になりますが、夜間登山をしないのであればオーバースペックすぎるので不要です。
レジャーシート
星を見に行くのですから、寝転がれる環境は必須です。レジャーシートがないと、上を向き続ける必要がありますから、翌日の肩こりが酷いです。また上を向き続けると首の血流が滞って血栓ができ、脳梗塞が発症しやすくなりますので、健康上の理由からも持って行くことを推奨します。
防寒着
先日私が行ってきた長野県の山のような高所に撮影に行く場合は、真夏であってもダウンジャケットなどを持って行ったほうが良いです。8月でも寒かったです。一般的に「標高が100m上がると0.6℃気温が低下する」と言われていますし、夜ですから場所によっては相当な冷え込みになります。
手袋
三脚やカメラは熱伝導性の問題で、夜間時は触るのが苦痛になるほど冷たくなります。真夏でしたら不要ですが、春秋は薄手のものでいいので持っていきましょう。
アイマスク、枕
車中泊する場合にあると快適です。
レンズヒーター
重要度が高いにも関わらず、初心者さんが買うのをケチるグッズNo.1がレンズヒーターです。多湿の日本で撮影する場合、夜間の冷え込みにより高確率でレンズが結露で曇ります。夏であっても簡単に結露します。レンズヒーターでレンズを温めてあげることで簡単にレンズの曇りを防ぐことができますので、必需品といっても過言ではないでしょう。
高価なものではないので、ぜひ準備しましょう。
ブロアー
センサーのごみの除去などにも使えますが、現場でレンズの結露を除去したり防止したりするのに使えます。レンズヒーターを装着していたとしても念のために定期的にレンズに向かってシュコシュコしてあげてください。レンズの曇りが簡単に改善します。
HAKUBAのブロアーは作りが良いのでかなりおすすめです。私も愛用しています。
これはレンズが曇った時の天の川の写真です。写真の中央部分が丸く曇っているのがわかりますでしょうか? これはレンズの曇りが映りこんでいるのです。この時はレンズヒーターをレンズに巻き付けていたので周囲の部分は結露しなかったのですが、温度の低い中央部分だけ結露してしまったのです。こんな時はブロアーでシュコシュコやってあげると結露が取れますよ。なおレンズヒーターを装着していないと、この曇りが写真全面に広がります。
ソフトフィルター
星の光を滲ませて撮影することができます。明るい星の強調や、ふんわりした描写ができます。ソフトフィルターの使用については好みですので有っても無くても良いと思います。出目金のレンズについては前玉にフィルターを装着できませんので、後玉にゼラチンフィルターという種類のソフトフィルターを装着することになります。ゼラチンフィルターの装着は以前記事にしましたので参考にしてみてください。
www.rikei20.com
ソフトフィルター有りで撮影
ソフトフィルター無しで撮影
赤道儀、赤道儀用の雲台、コンパス
赤道儀を使用すると、地球の自転で星が動いてしまうのを抑制することが出来ます。金銭的なハードルはやや高いですが、カメラのクオリティを上げなくても写真のクオリティを劇的に上げることが出来ますので、星空撮影のノイズに悩んでいる方は導入を検討してみてはいかがでしょうか。
Vixenのポラリエがコスパに優れていて非常に人気があります。ちなみに私もポラリエを使用しています。先日の長野県での撮影はほぼ全てのシーンでポラリエを使用しました。
「使い方が難しそう...」という方でもきっと大丈夫です。北極星の方向にポラリエを向けるのが最もハードルが高い点だと思うのですが、私はいつも北極星にいちいち正確に合わせていません。精度はやや下がりますが、簡単な使用方法をご紹介します。
- 撮影ポイントの緯度をGoogleマップで事前に調べておく
- ポラリエを三脚にセットして、カメラをポラリエにセットする (三脚用とポラリエ用に雲台が2個必要です)
- ポラリエ付属のコンパスを使ってポラリエをおおよそ真北に向ける
- Googleマップで調べた緯度の角度にポラリエを適当に傾ける (角度計がポラリエについているので簡単です。)
本格的にやっている人に怒られそうですが、広角の写真撮影においてはこれでも十分効果的です。私はいつもこれくらいの適当な感じでやっており、北極星にいちいち正確に向きを合わせていません。(実はそこまで星座に詳しくないので、満天の星すぎると北極星がどれか分からないというのが最大の理由だったりします笑)
最後に
ということで、星景写真を撮影するときの私の持ち物リストと、一部その補足をご紹介・ご説明させていただきました。星空撮影したことのない人は、失敗してもいいくらいのつもりで一度気軽な気持ちでやってみてはいかがでしょうか。飽きてきたら寝転がって星々を眺めるだけでも癒されますよ。非日常な空間を楽しめます。
暗闇での行動になりますので、くれぐれも安全にはご注意くださいね。特に崖からの転落やクマとの遭遇はかなり危険度が高いのでご注意ください。心配な場合はヒグマ対応のクマ撃退スプレーを持って行きましょう。さらに念のため複数人で行くことが出来ればベストですね。